去る11月8日(水)10:30から、「第42回福島県生協大会〜一緒につくるをどうやて医務出していくか?健康格差って?」が、福島県労働福祉協議会の後援、一般社団法人福島県労働者福祉基金協会の協力で開催されました。
今回も、コロナやインフルエンザ感染予防のため、昨年に引き続きZoomをつかったハイブリッド型としました。
ラコパふくしまをメイン会場に、ひがし店B棟2階、みんなの交流館、パルシステム郡山センター、郡山医療生協、コープふくしま天神町会場、コープふくしま郡山会場の8会場と個人参加を結び、123名(昨年128名)の方々にご参加いただいての大会となりました。
進行役を組合員活動委員会の星野のり子副委員長にお願いし、開会のあいさつを池端美雪副委員長が行ったあと、主催者を代表して、高田由喜委員長より、以下のあいさつがありました。
組合員活動委員会で委員長を仰せつかっている高田由喜です。
組合員活動委員会という聞き慣れない委員会ですが、2023年度から13会員生協より、地域担当理事を中心に構成された委員会で、組合員に対する生活の改善、文化の向上、組織の拡充をはかる教育事業の推進を目的として新設された委員会です。
組合員活動委員会において、各会員生協の活動交流を進める中で、今年の生協大会のテーマをどうしようかとの意見交換を行いました。
18項目も出された中で、「組合員活動をするに当たり、楽しく活動できるためのヒントが欲しい」というのが上位に選ばれました。
3年続いたコロナ禍にあって、組合員活動をいろいろと工夫しながら進めてきてはみたものの、リアルに会えないという閉塞感があったのだと思います。
そうした中で出逢ったのが、西川 正氏の「あそびの生まれる時「お客様」時代の地域活動コーディネーションいきいきする本だな」という本でした。
長引くコロナ禍や活動のマンネリ化、活動家の成り手不足などにより機能不全に陥っているかもしれない地域での組合員活動にヒントをいただけるのではとご期待申し上げております。
また、交流を進める中で、医療生協の方から「健康格差」という言葉をお聞きしました。
格差社会という言葉を耳にしたことのある人は多いのではないでしょうか。
近年、日本でも格差が広がっていることを報道されることがありますが、健康についても格差が広がっているとのことで、それではこの「健康格差って」なんのことだろうということで、全日本民主医療機関連合会、民医連に講師の派遣をお願いしたところ常駐理事をなさっておられる久保田直生氏をご紹介いただきました。
本日は、この二つのテーマについて、参加者の皆さんと学習を深め、今後の各地域での組合員活動の活性化にお役立ちできればと考えております。」
その後、早速、本日の講演1としまして「一緒につくるをどうやって生み出していくか?」が西川 正様からございました。
人々がのびやかにそれぞれの個性を発揮して、ニコニコしながらつながり支え合う。人と人とのそんな関係づくりを仕掛けて続けてきた西川さんは、キーワードは「あそび」と「遊ぶ」であり、そのためのポイントは「安心」と「工夫の余地」と言われ、数々の事例の動画を交えて、わかりやすく説明されました。
「お客様化」は、実は誰も幸せにしない
結局、普段の関係性が大事なんです。
子ども同士のトラブルがあった時、知り合いだったら「ごめんね」「お互いさま」ですみますが、知らない保護者だと強く緊張します。お互い怖い。どちらのせいか、になりやすい。それでよけいに人と関係を持つことを忌避する傾向が年々強くなっています。では、人の関係性はどうしたら生まれるのかというと、これはもう一緒に何かをするしかないのですよね。一緒に食べる、一緒に遊ぶ、一緒に働く。
私が共同保育で体験した保護者たちは、これをしていました。その関係性を基盤にして対話をするので、意見の違いがあっても排除にはなりません。
しかし、この30年、労働環境の悪化やシステム社会化の進行で、こうした人の関係をつくる時間がほとんどなくなってしまいました。「不要不急」が実は必須だったのだと思います。コロナ禍はこの傾向にさらに拍車をかけました。今もかかわっている学童保育所では、保護者の自主的な活動がなくなりました。その結果、例えば、夕方のお迎えをお互いに頼み合う保護者がいなくなりました。危機的状況です。自分の子以外の子や他の家族の暮らしを知る機会がなくなり、現場の保育は緊張が強くなっています。これからどんな方法で回復させることができるのか、模索中です。
どうすれば、この状況を打開できるか?
このことに気づいて、2005年に始めたのが「おとうさんのヤキイモタイム」というキャンペーンでした。みんなでたき火を囲もうという人に、生協から寄付していただいたお芋(一ヵ所あたり10キログラム)を送って応援するというプロジェクトです。たき火を囲んで、一緒にお芋を焼いて一緒に食べる。シンプルですが、みなさんいい笑顔になります。
これまで、17年間で約千ヵ所にお芋を送りました。でも、同じ焼き芋の会でもとても盛り上がる場とそうではない場があります。公共施設の職員、あるいは町内会やPTAで役員だけが働いて「焼き芋サービス」を提供する場では、人はあまりつながっていかない。
逆に、「お芋を一つ持ってきて、他に焼いて食べたいものも」と呼びかけて、食材も労力も「持ち寄り」で場をつくっていると、あたたかい時間になります。そこには苦情はありません。うまくいってもいかなくても、みんなでわいわいと工夫する。そんな時間を持つことで、仲間になっていくのだと思います。
場があたたまる秘訣は?
人は、「安心」を感じられる場で「工夫の余地」がある時に、自然に動き出すのだと思います。これは子どもの遊びも市民活動も同じです。失敗をしても責められないという安心を保障すること。そして、その人なりの工夫の余地があること。例えば、先ほどの焼き芋の「持ち寄り」もまた工夫の余地です。
私は、子どもが生まれて地元の保育所の保護者会の活動に出合い、以来、地縁による活動の魅力を知りました。
しかし、いま町内会やPTAは、人気がありません。そこに安心はあるか、工夫の余地はあるかという視点で見直してみると、不人気の理由が見えてきます。年長者や先輩が正解を持っていて、新しい人を評価の目でみていないでしょうか。また前例通りで工夫の余地がまったくなかったりしていないでしょうか。楽しくもないのに義務として活動を強制していると、そこでの恨みが「あの人はやってない」などとむしろ関係を壊す方向に働いてしまっているのではないでしようか。
「困ったら、不安だったら、いつでも相談して。みんなでやるからね」と安心を保障した上で、その人の状況にあわせて、ちょうどいい工夫の余地を用意する。どんどんやりたい人には自由に動ける状況を、逆にどうしていいかわからない人には「まずここから」というプログラムを用意し、その中で工夫をしてもらう。そんなボランティアコーディネーションがあれば、気づけば人は動いている、遊んでいるのではないでしよぅか。楽しいと感じる活動であれば、自分のだいじな人を誘ったりできますよね。お客様になるか、当事者になるかは、場のつくり方しだいなのではないでしょうか。
(「ウオロ8・9月号(NO.550)」聞き手・まとめ編集委員早瀬 昇より)
昼食をはさみ、午後から、講演2としまして、「健康格差の実態について〜病気の原因の原因を知る〜」が久保田直生様からございました。
「健康格差」とは
- 本来であれば不要な違いであり、避けようと努力すれば避けることができるのにそうされておらず、
- 不当であり、不公正だということを指しています。
健康における格差とは「健康における違い・差」ではない
例)
- 遺伝子に由来する体質
- 病気のなりやすさ
- 年齢(高齢なほど病気になりやすい)
- 性別による違い
これらは、「健康格差」とは言わない。
「日本における健康格差の現状と課題」「なぜ、貧困は見えにくいのか?」「事例から考える健康格差」など豊富な資料をもとにわかりやすく解説いただきました。
詳しくはこちら(PDF:2.08MB)
講演のあとには、2022年度の活動や今年度後半戦に向けた活動を交流する時間として、報告のお申出のあった
福島医療生協の佐藤綾子さん(詳しくはこちら)(PDF:3.24MB)
コープあいづの関本美和さん(詳しくはこちら)(PDF:760KB)
浜通り医療生協の工藤史雄さん(詳しくはこちら)(PDF:1.77MB)
から、報告がございました。
報告が終わり、閉会のあいさつが増井泰子副委員長からございました。
|