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第98回国際協同組合デー記念フォーラム開催

YouTube配信 主催:地産地消運動促進ふくしま協同組合協議会

第98回 国際協同組合デー 記念フォーラム開催

 世界の協同組合が協同組合運動の発展を祝い、さらなる前進を誓い合う日である「国際協同組合デー」は毎年7月第1土曜日と定められており、今年は7月4日(土)でした。

 国際協同組合同盟(ICA)の提起する今年の世界共通のテーマは、「協同組合の力で気候変動に立ち向かおう〜アイデンティティとSDGsへの貢献〜」

 (英原文"CO-OPERATIVES FOR CLIMATE ACTION")となりました。

 このテーマは、「持続可能な開発目標」(SDGs)の目標13「気候変動に具体的な対策を」に関するものとして選ばれました。

 本年(2020年)は、国際的な生物多様性(里山イニシアティブ)の10年戦略(2011-20)の最終年であり、東日本大震災発災後10年でもあり、さらに新型コロナ禍のまっただ中です。このように災害が多発する中での本県の県民生活の安全・環境保全と、持続的な産業振興・地域発展に向けて協同組合が力を合わせて取り組んでいくことを真剣に考えなければならない節目であると考えます。

 国際協同組合デーに合わせ、皆で国際協同組合デーを祝い、世界の協同組合の連帯の課題について理解を深めるとともに、福島県の協同組合運動の目指すものを確認することを目的に、7月15日(水)午後13:30から、福島大学食農学類研究棟「みらいホール」を会場に開催しました。今年は、コロナ禍ということもあり、YouTubeライブにて配信をしました。

〜テーマ〜

「災害と気候変動に打ち克つ協同組合間協同と農地・里山・里海の再生、地域自給圏の構築」

 地産地消運動促進ふくしま協同組合協議会(以下「地産地消ふくしまネット」という)が、例年7月に開催している国際協同組合デーを記念しての「フォーラム」は、2020年度は福島大学食農学類と共催で、新装なった福島大学食農学類研究棟1Fの「みらいホール」を主会場とし、新型コロナウイルス感染拡大を受けて、実参加者数を制限し、ソーシャルディスタンスを保った座席配置、非接触型体温計で体温チェック、マスク着用、手指消毒といった徹底した感染予防体制の中、開催致しました。

 主会場には、構成団体の代表や事務局含めて約50名が参加しました。

 また、会員団体はもとより、東日本・津波・原発事故大震災から10年ということもあり、全国の協同組合間連携組織や関係者にも広く参加いただこうとYouTubeを活用したライブ配信を行いました。

 JA福島中央会組織広報課、後藤洋子課長の進行で進められました。

 開催にあたり、主催者を代表して、当協議会菅野孝志会長より、以下の挨拶がありました。
「皆さんこんにちは。本日は、ご多用のなか「国際協同組合デー記念フォ ーラム」にご出席を頂き、誠にありがとうございます。

 地産地消ふくしまネットを代表し、一言ご挨拶を申し上げます。

 まず初めに「令和2年7月豪雨」により、お亡くなりになった方々に心よりお悔やみ申し上げますとともに、被害に見舞われた多くの皆様が、一日も早く日常の生活に戻れますよう心よりお祈り申し上げる次第であります。

 毎年7月第1土曜日と定められております「国際協同組合デー」は、世界の協同組合が協同組合運動の発展を祝い、さらなる前進を誓い行動を確認し合う日であります。

 それが、今年の世界共通のテーマ「協同組合の力で気候変動に立ち向かおう〜アイデンティティとSDGsへの貢献〜」なのであります。

 このテーマは、自然や環境破壊により異常なほどの災害を惹起している状況への反省、さらに自然との共生の道を探ることが求められていることに鑑み「持続可能な開発目標」(SDGs)の目標13「気候変動に具体的な対策を」に関するものとして選ばれました。

 1923年に第1回国際協同組合デーを祝ってから今年で98回、国連が「国際デー」の一つとして認定してから26回目となります。

 また、本年は、国際的な生物多様性(里山イニシアティブ)の10年戦略の最終年でもあります。

 さて、東日本大震災・原発事故から9年が経過し、被災地域での農林漁業の復興に向け着実な歩みを進める中、昨年10月に発生した台風19号は、本県に甚大な被害をもたらしました。

 さらに世界を震撼させている新型コロナウイルスの感染拡大に加え、九州や長野、岐阜での記録的な豪雨災害は、多くの尊い命を奪いました。

 このように災害が多発する中、県民生活の安全・安心を確保し持続的な産業振興と地域発展に向け、協同組合が、さらに多くの団体が力を合わせて取り組んで 行かなければならないと考えます。

 こうしたことから「国際協同組合デー記念フォーラ ム」にあたり、福島大学食農学類の3人の先生方よりテーマにそった研究報告と4つの協同組合より情勢報告を頂くこととしました。

 これらを通じ協同組合の役割や価値の再確認にも繋げてまいりたいと思っております。

 私ども「地産地消ふくしまネット」は、2008年にJAグループ福島、県森連、県漁連、県生協連の4つの協同組合と福島大学での設立以来、参加団体も拡大し、現在22の団体の方々に参加を得るまで発展しており協同と連帯の輪が広がっておりますことは、喜びに堪えないところであります。

 県内の多くの協同組合・機関・団体の力を結集し、農林漁業の振興をはじめ、地域産業の活性化、安心して暮らせる地域社会づくりにその役割を果たしていかなければならないと考えております。

 余談になりますが、この気候変動の問題を考えたときに、あの倉本 聡が富良野塾を立ち上げたときに、起草文を書いておりますけれども、なんとなくこの言葉を思い起させていただきました。若干ご紹介申し上げますけれども、『あなたは、文明に麻痺していませんか? 石油と水はどっちが大事ですか? 車と足はどっちが大事ですか? 知識と知恵はどっちが大事ですか? 批評と創造はどっちが大事ですか? 理屈と行動はどっちが大事ですか? あなたは感動を忘れていませんか? あなたは、何のかのと言いながら、わが世の春を謳歌していませんか?』こんな言葉を思い出しました。

 本日ご参会の皆様のご発展とご活躍を心よりご祈念申し上げ主催者の挨拶といたします。」

 続いて、会場をご提供いただいた福島大学食農学類長の生源寺 眞一教授より、下記の挨拶がございました。

 「只今、ご紹介いただきました食農学類の生源寺でございます。

 国際協同組合デー記念フォーラムということで、私自身は、2012年の国際協同組合年で、当時、私は生協総合研究所の理事長だったこともあり、いろいろと関わったことを思い起しながら、挨拶を始めているところであります。

 それで、本日はオンラインといいますか、ユーチューブを通じて発信するということでございますので、この会場におられる方に加えて、県内各地の皆さん、それから県外の皆さんにもいろいろなことが発信されると理解をしているところです。
私は、もうひとつの主催者を代表して挨拶を申し上げたいと思いますが、この会場ですが、正式名称は、福島大学食農学類研究棟みらいホールです。

 ご案内かと存じますが、福島大学食農学類は、昨年4月に108名の学生を迎えました。

 この4月には、教員全員が着任いたしました。そうした学生や教職員を支えるのが、この研究棟であり、その研究棟の中心的な空間となっているのが、このみらいホールです。

 本日のフォーラムにも多少そうした要素があるかと理解していますが、研究の成果を県内或いは県外に発信するその拠点になるだろうと考えています。

 或いはですね、若い意欲的な学生が県内各地の皆さんと交流する場になるだろうと考えています。

 このみらいホールのことについてご紹介したわけですけれども、このホールは福島大学の食農学類が福島県内の多くの人々或いは組織、団体、こういった皆さんのお力添えによって生まれたことを暗に象徴していると考えています。

 この食農学類研究棟の建設も自治体、JAグループをはじめとする協同組合、こういった方々の物心両面の支えがあって出来上がったものです。

 私自身、実は主催者である食農学類の学類長でありますけれどもこのフォーラムに参加するのは初めてであります。

 ここからは、私自身のフォーラムへの理解に関係するようなことを申し上げたいと思います。もうひとつは、この建物の中にもそうなのですが、けっこう県産の木材を使わせていただいていることもご紹介させていただきたいと思います。

 地産地消運動促進ふくしま協同組合協議会、略して地産地消ふくしまネットでしょうか、この組織の設立趣意書と規約を拝読させていただきました。

 先ほども話にありましたが、農協の中央会、漁協の連合会、さらには森林組合連合会、それから生協の連合会の4つの協同組合が発起人として設立されたとこういうことであります。規約に消費者・生活者・生産者・事業者の協同組合が、自主的、主体的に協同とこう謳われております。まさにこれ掛け値なしの4つのタイプの協同組合の協働といっても良いかと思います。

 規約の中の目的に、健康で明るく持続可能な地域社会づくりに貢献するとあります。これはある意味当たり前のことが書かれていると受け止めることもできますが、地産地消ふくしまネットが設立されたのは2008年7月29日だったということであり、このことを考えると健康で明るく持続可能な地域社会づくりと掲げた意味はかなり深い、重い意味があると思う次第であります。

 2008年は、ご記憶の方も多いかと思いますが、前年から続いていた穀物あるいは大豆の価格の急上昇、これがピークに達した時期であります。これは落ち着いていた2006年対比で3倍あるいは4倍、こういう値上がりが生じた年で、米や小麦を輸出禁止にした国も10を超えています。もう少し緩やかな規制という意味でいえば何十ヵ国という国がそういう行動をとったわけです。その意味では食糧の確保という点で持続可能性ということに大きなクエスチョンマークがついたのが、地産地消ふくしまネットが設立された2008年だったわけです。

 もうひとつ、実は、2008年は食の安全について新たな問題がクローズアップされたという年でもありました。

 これもご記憶がおありかと思いますが、2007年12月確か28日だったかと思いますが、COOP商品の手作りギョウザによる中毒事件が、千葉や兵庫(実は会津でも)で発覚しました。後に中国の工場で意図的に農薬が混入されたことがわかって、この後フードディフェンスという言葉が生まれたわけですけれども、そういう意味では2008年は生協の食の安全に関する信頼が大きく揺らいだ年でもありました。

 ですから、健康な食生活、食糧供給の持続可能性に関する大きな問題が起きたその中での地産地消ふくしまネットの設立だったわけであります。

 翻って現在はどうかということであります。

 2008年と2020年は、ちょっとお考えいただけるとお分かりになりますが、どちらも子年です。だからということではありませんが、2020年は、ご案内の新型コロナウイルス感染拡大によって、2008年の子年に勝る大きな困難に立ち向かうという年になっているわけでございます。

 今回のフォーラムでありますが、気候変動と災害がメインのテーマであります。

 困難な課題に立ち向かう中から、地域社会の或いは日本社会の、さらには地球社会と言ってもいいかも知れませんけれども、社会のあるべき姿を協同組合の理念をベースに模索するという点では、災害という問題と現在我々が向き合っている新型コロナウイルスの問題、これはかなり重なりあっているというふうに思います。

 そういった点も含めて、長々とお話しましたけれども今日のフォーラムが、ご参会の皆さん、あるいはユーチューブを通じて受け止めていただいている県内或いは県外の皆さんにとって非常に実りのあるフォーラムになることをご祈念申し上げて、私のご挨拶にかえさせていただきます。」

 お二人にご挨拶をいただいた後、早速フォーラムに入りました。

 まず最初に、本日のテーマについて「気候変動・災害につよい地域自給圏の再構築を」という題で、福島大学食農学類の小山良太教授に、解題をしていただきました。関係資料はこちら【PDF:311KB】)

 小山教授の解題の後は、「報告1」として「災害からの農地・集落の再生と農林畜産業の振興」というテーマで福島大学食農学類原田英美准教授から関係資料はこちら【PDF:1.12MB】)

 「報告2」として「里海の保全・再生と協同組合間協同の課題」というテーマで福島大学食農学類林 薫平准教授から関係資料はこちら【PDF:2.82MB】)報告をいただきました。

 報告の後、県内4つの協同組合より、JAグループ福島を代表してJA福島五連の菅野孝志会長関係資料はこちら【PDF:667KB】)、県内の生協を代表して福島県生協連吉川毅一会長(関係資料はこちら【PDF:1.13MB】)、県内の森林組合を代表してJForest福島県森連の秋元公夫会長と松本秀樹専務(関係資料はこちら【PDF:442KB】)、県内の漁協を代表してJF福島県漁連の野崎 哲会長より(関係資料はこちら【PDF:1.24MB】)、情勢報告がありました。

 秋元公夫会長、野崎 哲会長は所要の為、会場に来れなかったので、映像で報告をいただきました。

 その後、時間の都合上、主会場に参加の方々を代表して農林中央金庫福島支店の望月大輔支店長より、「2016年から、JAグループから福島大学に研究委託として風評対策とか被災地における農業生産の復興などに取り組んでいただいておりますが、原田先生の報告にもございましたが、これまでの研究委託の内容のうち、こうしたことに関係することがありましたら、ご紹介いただきたい」との質問をいただき、小山教授より回答いただきました。

 「震災以降、JAグループや地産地消ふくしまネットから多大な協力をいただき、放射能測定とか情報発信とか、福島大学として取り組んできました。農林中金からも委託事業を受け、特に浜通り地区の大規模な土地利用で飼料作物を作れないかということで、実証実験を続けています。今回復興牧場含めた飯舘村ですとかフェリスラテとか、広域的な循環システムが作れないか、研究を進めてきています。

 その一部を原田先生の報告の中で触れていただきましたが、漁業と農業を連携させて再生をしていく、消費者と漁業者と連携して、そこでどういう情報を発信していくか、どういう企画が安全性を伝えやすいかといった点について、林先生がこの間ずっと関わってきているのですが、この点についても農林中金の支援で行っています。

 新型コロナウイルス感染拡大後も福島大学食農学類の200名余の学生など、JAふくしま未来を中心に援農バイトをさせていただいております。これまでのアルバイト先が稼働できずに生活費を稼げないでいる学生に、選果場でのアルバイトなどで学生を助けていただいておりますし、生協連の協力で、毎年、北海道の森町で農業実習を行っています。森林組合の支援で福島大学の中で使われている椅子だとかテーブルに県産材を使わせていただいております。

 また、昨年も東京都で行われた「食育フェア」などで、県漁連の皆さんと一緒に福島大学の学生たちが、福島の安全な食べ物情報を発信するなどの取り組みを行っています。

 福島大学も地産地消ふくしまネットの協力のもとで、いろいろな活動を行わせていただいていることに感謝申し上げます」

 最後に、福島県生協連の吉川毅一会長より、以下の閉会の挨拶があり、終了となりました。

 「今年の国際協同組合デー記念フォーラムは、新型コロナウィルスの感染防止という観点から、ユーチューブでの配信という形で開催いたしました。会場参加とは違って、臨場感とか一体感といったことは少し感じられないところもあったかもしれませんが、今後しばらくは新型コロナウィルスと共存しながら暮らしていかなければなりませんので、これからはこうした方法が増えてくると思います。

 今年は、「協同組合の力で気候変動に立ち向かおう〜アイデンティティとSDGs」が世界共通のテーマになっています。

 自然災害や今回の新型コロナウィルスや昨今様々な災害が多発している中で、協同組合の使命、目指すものを確認し、一人一人ができることを実践する、そんなことをあらためて確認しながら、第98回の国際協同組合デー記念フォーラムを閉会します。長時間のご参加、そしてリモ−ト配信での視聴ご参加、ありがとうございました。」

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