子どもの貧困問題を考えるシリーズ
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日野公代理事 |
去る11月8日(水)、福島県ユニセフ協会、福島県労働福祉協議会、福島県生活協同組合連合会の共催による「子どもにやさしい空間づくり」の研修会が、ラコパふくしま5F「A会議室」で、開催されました。
県内各地から27名の方々が参加されました。
講師に「災害時こどものこころと居場所サポート」の小野道子さんと「NPO法人ビーンズふくしま」理事の中鉢博之さんにお願いしました。
県生協連では「ふくし委員会」が担当したこともあり、「ふくし委員会」担当の県生協連日野公代理事から、開会の挨拶があり、早速、「イントロダクション」「子どもにやさしい空間とは?」「子どもにやさしい空間の実践」といったディスカッションを交えた講義をいただき、グループワークとして「子どもにやさしい空間」をシナリオに基づいて、実際に作ってみて、発表を行いました。
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グループワーク |
グループ発表の様子 |
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修了証を手に記念撮影 |
今回の「子どもにやさしい空間づくり」は、昨年から実施している「子どもの貧困問題を考えるシリーズ」として、位置づけをしました。
今回は、災害時を想定した「子どもにやさしい空間づくり」について学びましたが、子どもの権利条約では、生命、教育、生活、健康、遊び、文化などの社会的諸権利を認めています。
また、ユニセフ『豊かな国々における子どもの貧困』の中で、「子どもの貧困」を、「生存し、成長し、成功するために必要な物資的、精神的、情緒的な資源が奪われていて、そのために、自らの権利を享受し、持てる能力を発揮し、社会の完全で平等な構成委員として社会参加できない」状態としています。
子どもが子どもらしく遊び、学び、成長する、そして幸せな環境下で生きていくことができる。こうした当たり前の権利が侵害されている状態が「貧困」と言えるのではないかということを昨年学びました。
子どもにやさしい空間は、そうした子どもの居場所であり、安心して、のびのびと学び、遊べる場所であり、その居場所づくりを周囲の大人たちがつくるだけでなく、子どもも参加して自分の意見を反映させることができるということが最も大切なことではないかと考えています。
子どもにやさしい空間が必要なのは、大災害や紛争などのような非常時に限ったことではなく、普通の、日常の中においてもではないかと私たちは考えています。
今日学んだことを早速応用し、子ども食堂など、子どもの居場所確保に生かしていっていただけたらと考えています。
今回は、福島県労働福祉協議会も共催いただいておりますが、奨学金問題を中心に子どもの貧困問題について、共通した課題認識を持つことから、企画に参画いただきました。
2016年11月、「協同組合において共通の利益を形にするという思想と実践」が、ユネスコの無形文化遺産として登録されました。
無形文化遺産の保護に関する条約は、世代から世代へと受け継がれ、コミュニティ等により絶えず再現・再創造される無形の文化的な遺産・伝統、ヘリテイジの保護を目的にしています。
普通「遺産」というとレガシーということばを思い出しますが、レガシーは、遺言によって受け取る遺産のことを意味し、ヘリテイジは、先祖から受け継いでいくものというような意味の遺産で,お金に換算したりしないものです。 文化遺産のようなものは、誰かが遺言で別の人に残すものではないので ヘリテイジを使うそうです。私たちは子どもにやさしい空間を子どもたちの未来に継承していく遺産(ヘリテイジ)にしていきたいと考えています。
また、国連が2015年に採択した「持続可能な開発目標」「SDGs」の基本理念も「誰も置き去りにしない」です。
SDGsは貧困、気候変動、紛争など、私たちの世界が抱える喫緊の課題のいくつかに取り組むための共通の計画とアジェンダを私たちに提供しています。
2017年度の国際協同組合デーのスローガンは「協同組合はだれも取り残されない社会を実現します」となっています。
未来を担う子どもたちをひとりとして置き去りにしない、取り残さないため、従来の「子ども食堂」に特化することなく、「子どもにやさしい空間」を地域の方々との連携で創り上げていきたいと思います。
親の貧困が子どもの貧困につながり、その子どもの貧困が新たな貧困を生み出すといった負のスパイラルを「子どもにやさしい空間」で育った子が、次の子どもたちに伝えていくといったプラスのスパイラルで補完していけたらと願っています。
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